アニメ続編を考えてみた@アニメ『獣の奏者エリン』再考@エリンの木の下で

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ここは、上橋菜穂子さんの長編小説『獣の奏者』をもとに制作されたNHKアニメ『獣の奏者エリン』について語る裏ページです。
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ここを初めて見つけた方には、まずはじめにをお読みいただくことをお勧めします。

もしも、続編を作るとしたら……?


2013-03-13 更新

自分ならこんなシナリオを考える

 今でも時々某スレには、原作の『探求編』『完結編』にアニメのラストを継いで続編を作ってほしいという声があがるのですが、私は絶対反対。もし作るなら、『鋼の錬金術師』のように原作準拠でゼロから作り直すことを望んでいます。

 ところが、ある日のこと。

逆に、改変しまくられて歪められてしまったあのアニメの続編にお似合いのストーリーってどんな……?

と、ふとシミュレーションしたら、思いもよらぬ過酷な展開が見えてきたのです。イアエリ萌えの自分でも驚くほどの内容で、自分の中にも黒○○みたいな人格があるのかもしれないと本気で思ってしまいました。
 抑え込もうとすればするほど湧いてきて、「これを早くなんとかしないと、SSの続きが書けん!!」と、吐き出してみたのが以下。
 あそこまで原作と乖離してしまっているのだから、捏造してしまったオリジナルキャラもなかったことにしないでちゃんと使うべきという信念のもと、考えたもの。
 単なる思考実験ですので、続きを書く可能性はほとんどありません。過酷な展開かつ若干アダルトなストーリーであるということをご承知の上でご興味のあるかただけ、どうぞ。

発端

 出だしは変わらず、降臨の野から11年後。
 エリンはシュナンに呼ばれ、トカラ村で闘蛇の大量死が起こったことを知らされます。
 ちなみに、エリンは、原因が特滋水であることをすでに知っています。原作と違い、ナソンが前作のかなり早い時期に余計なセリフで明かしてしまっているからです。ただ、それが大量死をどう引き起こすかは調べてみたかったので、トカラ村行きを承諾。ヌクモクを御者にした安っぽい荷馬車でトカラ村に出発します。そこから、第二の調査地ウハン村にも行くことになるのは原作と同じです。

襲撃

 ウハン村で襲撃を受け、ヌクモクが人質になってしまいます。
 エリンはヌクモクを救うために、ヨハルの制止を振り切って、ラーザに自分の身を差しだしてしまいます。

 ここでナソン登場。ナソンは大公城からずっとエリンを尾行して監視していました。エリンがラーザに連れ去られてしまったらとんでもないことになると考え、やむなくエリンを殺そうと画策。霧の民に伝わる秘薬を吹き矢に仕込み、エリンを射ます。
 エリンは滝壺に転落し、行方不明に。大規模な捜索が行われるも発見されず。
 イアルとジェシは、エリンが密かに生き続けていると信じていますが、公には死んだものとされてしまいます。

エリンの消息

 一方エリンは、滝壺から伸びている渓流の下流で、ラーザの一味に救われていました。
 幸いにも吹き矢の刺さり方が浅く、流れ下っているあいだに抜けたので、毒の摂取量が致死量を超えておらず、九死に一生を得ます。しかし、それでも毒のせいでエリンの意識はなかなかもどりません。
 ラーザは、エリンの治療のために素性を偽り、毒のプロフェッショナルを探します。
 そこに偶然、闘蛇村を巡回して草の根医療を実践していたキリクが現れ、まったくの善意から治療を引き受けます。

 そうしてラーザに連れていかれたアジトに横たわっていたのは、エリンでした。思いがけぬ再会にキリクは驚き、すぐさまエリンの解毒を試みます。
 その甲斐あって、エリンはようやく意識を取り戻しましたが、滝壺に落ちたときの頭の打ち所が悪く、記憶を喪失していました。
 自分の名はもちろん、夫と子がいたことも、すっかり忘れてしまってしまったのです。

キリクと偽りの夫婦に

 やがてエリンの身体は回復します。
 ラーザは二人を真王国から連れ出し、自らが支配する土地にアジトを築き、幽閉してしまいます。
 治療の過程で、自分とキリクの過去の経緯も知らぬまま打ち解けはじめるエリンですが、記憶はいっこうにもどりません。ラーザが期待していたエリンの能力や知識も失われてしまっています。
 ラーザはキリクにエリンの記憶を回復させることを命じながらも、記憶がもどったときに逃走されることを恐れ、エリンにラーザに留まらざるをえない柵を無理矢理与えることを画策します。

 ある日、キリクを呼びつけると、エリンと夫婦になり、子をもうけてラーザの本拠地で暮らすよう命じます。それができなければまずエリンを処刑し、それからキリクも殺すと。
 イアルやジェシの存在を風の噂に聞いて知っていたキリクは悩みますが、もとよりエリンに惹かれていたことをラーザに見抜かれ、エリンを娶ることを執拗にそそのかされます。
 キリクも、記憶を失ったいまは自分に好意を示してくれているエリンを救うには、自分と結ばれるのが最善なのだと思い込み、エリンに愛を打ち明け、抱いてしまいます。

 二人は夫婦として暮らしはじめますが、エリンはなかなか妊娠しません。実はキリクは、初めてエリンを抱く前に、心の中で詫びながら、密かにウロクを服用させていたのです。かつて自分を救ってくれたイアルへの、せめてもの罪滅ぼしでした。
 エリンは毎夜のごとくキリクに抱かれますが、キリクを受け入れたままで絶頂を迎えることだけはありませんでした。自分の手や口でしか幸せを味わわせてやれないエリンが、寝言で本当の夫の名をつぶやくのをむなしく見つめるキリク。

二年後

 そのまま2年ほど経ち、ラーザのエリンのもとに、幼い王獣が運ばれてきます。
 ラーザはダミヤ派の残党を籠絡し、王獣捕獲人まで攫い、王獣を手に入れてしまったのです。
 初めて見るはずの王獣に、どこか懐かしいものを感じるエリン。竪琴を与えられると、みるみる王獣を手なずけてしまいます。
 他方では闘蛇の繁殖にも成功していたラーザは、いよいよ、リョザに戦を仕掛ける準備を始めます。

 そのころ、カザルムでは、ジェシが、イアルの作った竪琴でリランたちを手なずけることができるようになっていました。エリンの帰還を信じながら、王獣に没頭していくジェシ。
 そんなジェシとイアルの面倒を、シロンが甲斐甲斐しく見ていました。最初は単に同情からでしたが、妻の生存を信じるイアルの誠実さに次第に惹かれていってしまうシロン。

 ある日、ロランが旅先で意外な噂を聞きつけて帰ってきます。ラーザに、王獣を操る術を持つ人間がいるらしい。緑の髪と目をした女性で、名がエリン。しかも、キリクという夫がいると。
 愕然としたイアルは、真相を確かめようと、ラーザの領地に単身潜入する決意を固めます。

記憶の復活

 エリンはまだ、とらわれの身だと言うことにも気づかぬまま、キリクと夫婦として暮らしています。
 ある日、野で王獣と戯れているとき、蜜蜂に刺されてしまいます。
 アナフィラキシーショックを起こし、高熱を出して昏睡してしまうエリン。
 熱が引き、ようやく目覚めたとき、目の前にあったキリクの顔にエリンは驚きます。記憶が戻ってしまったのです。
 キリクは、エリンがラーザに幽閉されて自分と夫婦にさせられていることを伝えます。失意に沈むエリン。

 が、エリンは突然、悪阻に似た症状を起こします。
 一度だけキリクに服用させられたウロクの効き目が2年のあいだに薄れ、エリンは妊娠してしまっていました。
 そして、仕方のなかったこととはいえ、キリクに抱かれ、イアルを裏切っていたことに対する自責の念から、エリンは自殺を図ろうとします。
 高い崖の上から飛び降りるエリンを、エリンがこの地で手なずけた王獣が受けとめて救いますが、地面に降り立ったところでラーザ兵に音無し笛を吹かれ、エリンは再び囚われの身に。

 やがて、イアルがこのアジトを捜し当て、二人は再会しますが……。

 妙に昼メロ的というか、NTR属性まで盛り込んだ、いわゆる韓流? 的なシナリオになってしまいました。
 自分に韓流趣味はないのですが、そもそも彼の国のドラマが、日本のかつての大映の「赤シリーズ(山口百恵主演のメロドラマ)」などにあるらしいので、「赤い疑惑」「赤い衝撃」などを見ていた「ませた」小学生(エリンさんとは正反対ですねw)だった身としては、こんな話が浮かぶのもしかたのないことかと。
 こんな続編を本当に見たいわけではありません。しかし、いったん改変してしまった設定や、作ってしまったオリジナルキャラをおざなりにせずに続編を考えるなら、いっそこのくらい羽目を外して、全くの別物にしてしまってほしいと思うのも事実なのです。
 さてみなさんは、どんな続編を期待しておられるのでしょうか。